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この矛盾はどうして起こるのだろう。
おそらく最も一般的な説明は、仕事が好きだと公言するたびに恥ずかしい思いをしてきたから、人が自分の仕事を評価する場合、収入や労働環境など一連の計算を行うだけではない。
自分の興味の度合いや達成感、人間関係など、数値化できない要素も考慮に入れるものである。
そして、それらの要素が持つ力は、どれだけの期待を持つかによって決まるのだ。
だいたいにおいて、仕事の満足度は、仕事に対する期待と実際の結果の関係によって決まる。
私たちは仕事によって望みのものを手に入れるのではなく、仕事に何を望むべきかを学んでいくのである。
だから、年輩の労働者のほうが若い労働者よりも、自分の仕事に満足しているのだ。
彼らは、実際の状況に期待を合わせるすべを学んだのである。
では、私たちの期待感を構成しているものは何だろう。
ひとつには、心理学者のH・Nが提唱した「比較の原則」と呼ばれるものがある。
これは、私たちの価値判断は、そのすぐ前の経験に大きな影響を受けるという考え方だ。
この説を証明するための、手軽にできる実験がある。
まず、5キロのウェイトを持ち上げてから20キロのウェイトを持ち上げる。
次に、19キロを持ち上げてから20キロを持ち上げる。
軽いものを持ち上げたあとのほうが、同じ20キロでもはるかに重く感じるはずだ。
心理学者によれば、私たちはこの「比較による評価」を、人生の他の局面でも行っているのだ。
前の仕事の時給が8ドルであれば、20ドルもらえれば大金だと感じるだろう。
しかし前の仕事で18ドルもらっていたら、20ドルもらってもそれほど感動しない。
レポートでAをもらった場合でも、前の成績がCであれば大喜びし、Bプラスであれば嬉しさもそこそこだ。
そういうわけだから、同じ仕事でも、ひどい仕事のあとでは素晴らしく、素晴らしい仕事のあとではそれほどでもないのである。
期待感は、各人の予想によっても形作られる。
ふたりの人間が社内で同じ地位についているとしても、一方はそれがキャリアの到達点だと考え、もう一方は飛躍の足がかりにすぎないと考える場合、仕事に向かう姿勢は当然違ってくるだろう。
自分の期待感を仕事の現実の姿に合わせるのは、仕事を楽しむための鍵である。
しかし、ここで気をつけなくてはいけない。
現実に合わせることと、野心を捨てることは、まるで違うのである。
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